青年期
作業
青年期には前段階の基礎部門での療育を経て基礎的な力は一応は獲得しています。つまり、課題への興味や関心、基本的な着席行動、グループへの参加、人への信頼、初歩的な挨拶や待つこと、話しを聞こうとする態度、体力等々はすでに身についています。
青年期には自我が形成されてきていて、自分の力を表現したいという気持ちが育ってもいます。こうした青年期の特徴を満たす位置にあるのが作業学習となります。作業に向かう中で、集中力、持続力、巧緻性、自らの力への自信、高い自己評価などが獲得されてきます。基本的な理念は、やさしい課題を丁寧に、正確に、取り組むように努力することですが、その中で誉められ、認められ、努力していく過程で「わたしにもできる」という強い自信をつけていきます。この過程のなかで得られる自信は、表情にもあらわれ、次第に力強いたくましい顔つきが現れてくるのです。ここで得られた自信が次のステップとしての、授産での労働につながっていきます。
現在は、障害の重い人、自閉症を合併したひとが大部分です。そこで、この人たちに適した作業が淘汰され、木工作業、機織り、結び折りなどが作業課題として用いられています。
青年期の重度・自閉症の方の支援-専修-
今日、児童施設の重度化が言われていますが、当園でも作業学習が適している人は激減しています。そのために重度な人に、作業よりは容易だが、児童とは異なる青年期にふさわしい課題提供の支援をするクラスが求められています。そこで専修というグループが設けられ、現在では、作業よりも専修クラスのほうが数では増さっている状況です。
専修は、強度行動障害をもち問題行動が強い人たちの青年期に対応するクラスと、知的障害がごく重い人たちが参加するクラスとの2タイプから構成されています。行動障害の強い人たちのクラスでは、構造化されたプログラムをもち、屋内作業と屋外作業のバランスに配慮して進めています。
余暇
施設を利用した余暇活動
【余暇の意義】
知的障害をもつ人たちのQOL(生活の質)を保障するためには、ADLや学習・作業・労働などとともに、余暇の充実を欠かすことができません。余暇活動は緊張緩和(リラックス)、気分転換(リフレッシュ)、娯楽、自立生活の支えとしての意義があります。
24時間を過ごす施設における余暇活動を考える場合、余暇時間を園生の生活リズムの中に意図的に織り込み、児童期には遊びを通じて、思春期には趣味を広げ、青年期には生きがいにつながるものとしてとらえています。日常の休日の過ごし方は、一週間の生活リズムの中で、明日へのエネルギーを再生産(リクリエイトrecreate)する時間として、また日常生活の整理をする時間として、位置づけています。
リクリエイトにおける余暇活動は 1.場の違いから、室内型(動・静)と屋外型(動・静) 2.関与の程度の違いから、受動型(映画やビデオ)と能動型(運動や造形) 3.準備の程度の違いから、弱アクション型(散歩)と強アクション型(遠足) 4.交流対象の違いから、異性交流・家族交流・地域交流、などに分け、バラエティに富んだプログラムを用意しています。日常生活の整理としての余暇活動は生活環境や対人関係の調整や爪切りなど平日では整理しきれない部分を補っています.余暇活動の計画では、月単位で各クラスの休日プログラムを計画する、家族や地域のボランテイアなどの社会資源を積極的に活用する、自己選択できるよう情報提供の構造化を図ることに留意しています。一日のフリータイムの過ごし方は、個人生活の豊かさに通じるので、放任ではなく本人の好みに応じてクラスのスケジュールなどを調整する、余暇活動のねらいを明確にする、保護者と情報交換するなどに配慮しています。