強度行動障害への支援
行動障害への支援 – 強度行動障害への支援 –
強度行動障害への支援は、現在、グループホームとならんで入所施設の主要な課題といえます。グループホームは中軽度の人に対して地域社会での生活により生活の質の向上をめざしていますが、強度行動障害支援は行動障害の強い人に対して入所施設の機能を利用し生活の質の向上をめざしています。強度行動障害への支援に代表される濃厚なリハビリテーション機能こそが今後の入所施設に期待される主要な機能であると考えられます。 当園は強度行動障害支援にその初期から関与しており、1988年に当園元園長、飯田雅子が、その定義、評価用の操作的な定義を提唱して以降、心身障害研究を経てモデル事業一般事業と発展しました。その間に、行動改善の要件を示したり、強度行動障害に自閉症とトゥレット症候群の合併例が多いことを提起しています。 以下にしめすのは、厚生省心身障害研究で共同研究者中本が整理した、強度行動障害への有効だった支援要件の中間報告です。 有効とされた処遇としては、
1. 構造化されたプログラムを準備する
2. キーパーソン=安心できる人を決めていくこと
3. 安定した小集団で生活する
4. その他、対応方法を統一する
・行動特徴をつかんで対応をする ・長期的な指導のタイミングをつかみ指導的なものは安定後とする ・約束を守る処遇をする ・生活リズムを整える
5. リラックスできる、強い刺激を避けた環境を準備する
・疲れさせない配慮 ・施設でのゆったりとした生活 ・食事は静かな部屋で担任と食べる ・自傷には個別につく ・静かな環境を準備する ・食事を投げれないように固定し安心させる ・場面転換をして気持の切り替えをする ・だっこなどで安心感を与える ・散歩で衝動を減らす ・複数の指示・課題提示をしない ・禁止や強い指示をしない ・許容的対応をする
6. コミュニケーション
・発話のある人では言語ゲームを楽しむ ・言語理解力に配慮して対応、押し問答にはまらない ・コミュニケーションの調整 ・事前の連絡(見通し)をつける
7. セルフコントロールする力
待つ習慣の形成、身辺処理技能の獲得などを通じて まとめるならば強度行動障害のうち易改善群の多くに有効な印象がある方法としては
- 構造化された環境のなかで、
- 薬物療法を活用しながら、
- リラックスできる、強い刺激をさけた環境で、
- キイパーソンを軸に、
- コミュニケーションで楽しい雰囲気と見通しを作り、
- 次第にセルフコントロールを促す
というものでした。